ある日フィッシャー・タイガーは、リュウグウ王国国王に、奴隷解放の許可を取りに行きます。許可を得られなかったとしてもこの人ならば、きっと実行したのでしょう。
そしてオトヒメには見聞色の覇気の持ち主なので、フィッシャー・タイガーの心の叫びが聞こえていたようです。
タイガーは奴隷を解放したことにより、魚人島の英雄となっていました。
憎き人間から魚人や人魚を解放したということなので、こうなってしまえば、〝太陽の下で人間と共に生きる〟というオトヒメの夢も遠のいてしまいます。
フィッシャー・タイガーは、アーロンとは違い、無闇に人殺しはしません。
アーロンは人間=悪だという考えの持ち主ですが、フィッシャー・タイガーは「同じ事をして同等になるな」という考えのようです。
アーロンはその考え方には納得できません。
人間に復讐をしたいのです。
しかしそれはタイガーが許しません。
あくまでも奴隷を解放しただけであって、人殺しが目的ではないのです。
タイヨウの海賊団が結成されてから三年が過ぎたある日、魚人海賊団はある人間との出会いがあった。コアラという11歳の女の子です。
もともと奴隷だったこの女の子を故郷まで届けてほしいという願いをある民族から受けたのです。
もちろん人間に良い感情を抱いていない魚人達は大勢いるので気に食わないものも出てきます。しかしフィッシャーは違います。魚人も人間も虐げられていたら同じように助けるのです。
この女の子は奴隷として働かされている時にいい子にしていないと殺されるという恐怖から、感情を出さなくなってしまいました。
そんなコアラを見たタイガーは、コアラの体に刻まれた刻印を、手荒ですが消します。
一瞬気絶してしまいましたが、目が覚めるとすぐに謝る。
子供として、とても不自然です。奴隷として働くということが染みついてしまったのです。子供なのでその吸収はさらに早いです。
そんなコアラを見たタイガーは、「天竜人と一緒にするな」ということを伝え、コアラを故郷に送り届けることを決めます。
緊張の糸がやっと解けたのか、コアラはようやく子供らしく涙を見せるのでした。