魚人島には、天竜人が乗った難破船が上陸した。
天竜人が魚人島に来るということは、極めて稀なことのようで、島の住民も大慌てです。しかし、海底生物に襲われた天竜人は酷いケガをしています。
それにしてもいつの時代の天竜人も、腹が立つほど腐った性格をしています。
早くこの天竜人の謎が明かされ、そして解体されてほしい。
どうやらこの天竜人は、魚人の奴隷を確保しにきたようですが、元奴隷だった魚人達は天竜人の前に現れ銃を向けます。
元奴隷たちの怒りは相当なものでしょう。
魚人島の民が黙っていればただの〝海難事故〟になるということで、元奴隷たちは本気で天竜人を殺す気です。
しかしその天竜人を庇ったのはオトヒメ王妃です。
たぶん魚人島でこんなことをするのはオトヒメ王妃くらいでしょう。
「子供が見ている」と言われてしまえば納得せざるを得ません。
子供は大人のやっていることを見て正しいことや正しくないことなど、その行動や考え方などを学んでいくのです。
フィッシャー・タイガーが行言っていたように、何も知らない子供たちにこそ、人間を恨む姿は見せてはいけないというオトヒメ王妃にもあるのです。
「彼らはこれから出会い・・・考えるのです!」という言葉にハッとさせられてしまう。
フィッシャー・タイガーとオトヒメは表面的にはまったく違う行動をしているように見えましたが、考え方としては同じであったといえます。
しかしそんなオトヒメになんの恩も感じることのない天竜人は、オトヒメを人質に取り、銃を向けます。
ここで驚きの出来事が起こります。
母親が危険な状態に晒されたとわかったしらほしが大声で泣きだすと、どこからともなく巨大な海王類が突如として現れたのです。
こんなの現れたら本当にこわすぎる。
このしらほしの能力は、島中はもちろん、オトヒメも初めて知ったことのようで、さらにこの時からしらほしはバンダー・デッケンに狙われてしまうことになる。
天竜人は殺されることなく、魚人海賊団だったアラディンの治療を受け、命を取りとめる。アラディンも元奴隷だったので、その悪の根源である天竜人の治療をすることはとても辛い事だったでしょう。
天竜人が地上へ帰るという時に、オトヒメ様は自分も一緒に地上へ行くと言い出します。もちろん国王や魚人、人魚達は大反対です。
魚人や人魚を奴隷として扱うのですから、無事に帰ってこられないと思うのが普通でしょう。
しかしオトヒメは「弱いからこそ行く意味があるのです」と言って聞きません。
身体は弱いですが、本当に気は強い。
そしてなんとオトヒメは無事に帰還した。
手には一枚の紙を持っており、これから魚人島は大きな一歩を踏み出すための一枚だということが、オトヒメの笑顔を見ればわかります。